大雪山系十勝岳(2077m)の南斜面を源流に、豊頃町で太平洋に注ぐまで、十勝平野を潤す北海道屈指の長大な河川が十勝川。幹川流路延長は156kmで、北海道第3位、日本第16位、流域面積9010平方キロは石狩川に次いで北海道第2位の規模で、日本国内でも第6位になっています。源流部1035haは十勝川源流部原生自然環境保全地域に指定。
源流部は原生自然環境保全地域に
十勝岳南面、標高1620m付近を源流に、エゾマツ、トドマツ、ダケカンバ、ナナカマド茂る原生林1035haが、十勝川源流部原生自然環境保全地域。
北海道のエゾマツ・トドマツ林は、樽前山山麓のように昭和29年の台風による大きな被害を受けているため、樹高30mに達するエゾマツは貴重な存在になっています。
環境大臣が指定する原生自然環境保全地域は、北海道では十勝川源流部のほか、知床半島の遠音別岳(おんねべつだけ/羅臼町、斜里町)だけです。
十勝川本流のダムは、大雪山国立公園内の十勝ダム(東大雪湖)、岩松ダム(岩松湖)、屈足ダム(くったりだむ/くったり湖)の3ヶ所。
なかでも高さ84.3mのロックフィルダム、十勝ダムは、十勝川水系最大の多目的ダムで、湖の中央に架る東大雪橋は、秘湯・トムラウシ温泉へとアクセス道となっています。
中流の十勝川温泉近くに架かる十勝中央大橋(別名「白鳥大橋」)は、冬季のハクチョウ飛来で有名です。
十勝川温泉の少し下流、池田町の千代田堰堤は、昭和10年完成の水田灌漑施設で、秋に産卵のために回帰してきた無数のサケが遡上する光景は、風物詩にもなっています。
十勝川治水開闢期の歴史を伝える大規模固定堰として土木学会の土木遺産にも認定。
安政5年(1858年)、函館奉行の命を受けた幕末の探検家・松浦武四郎は、河口から十勝川を上流へと探索に出かけていますが、十勝川河口の大津(現在の豊頃町大津・大津港町)は、道東の探検・開拓の拠点として機能していました。
十勝川の十勝は、十勝川河口に位置した十勝太(とかちぶと=現・浦幌町十勝太)集落、アイヌ語の「トカプ・ウシ・イ」(tokap-us-i=乳房・ある・所)に由来。
川口が東西ふたつに分れ、乳が出る如く、流れが途絶えることがなかったためとも、乳の形に似た丘があったためとも推測されています。
十勝川源流・十勝岳南面|新得町
十勝川温泉・十勝中央大橋|音更町・幕別町
十勝川河口|豊頃町
十勝川 | |
名称 | 十勝川/とかちがわ |
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