標津町(しべつちょう)の海岸から少し内陸に入った原野にある伊茶仁カリカリウス遺跡は、伊茶仁川(いちゃにがわ)とその支流、ポー川との間の台地上に形成された遺跡。407haの広大なミズナラ林を主体とした遺跡の森が海岸から内陸にかけて広がり、そのうち370haが史跡として指定保護されています。
三内丸山遺跡のなんと3倍もの竪穴住居跡が発見されている!
日本最大級の縄文集落として有名な、青森県三内丸山遺跡で発見されている竪穴住居跡の数は800軒ですが、伊茶仁カリカリウス遺跡では2549軒。
単一の遺跡としては日本最大の集落数で、周辺の遺跡を含めると4400軒の竪穴住居跡が発見されているのです。
埋まったままの住居跡もあるため、実際にはこの倍以上、1万近くの竪穴住居群と推測されています。
伊茶仁カリカリウス遺跡、古道遺跡(ふるどういせき)、三本木遺跡の3つの遺跡を総称して標津遺跡群と呼んでいます。
伊茶仁とはアイヌ語で、イチャニ(ican-i=サケマスの産卵場・ところ)の意。
幕末の探検家・松浦武四郎の『知床日誌』には、「イヂャヌ。名義は鮭が卵を置くと云義也」と記されています。
今でも清冽な川が流れ、秋には多くの鮭が遡上するとのこと。
カリカリウスは、カリ・カリ・ウシ(kari-kari-us=回る・回る・たくさんある)で川が湿原で蛇行するさまを表現していると推測できます。
世界遺産にも登録された豊穣な根室海峡を眼前に、この地には豊かな食生活があったのだと推測されます。
平成18年度の調査では擦文時代からアイヌ文化期の畑跡の可能性がある遺構も発見されています(道東では初の発見)。
史跡内にはトビニタイ文化(オホーツク文化と擦文文化の融合した文化=北方の海洋民族と本州の影響を受けた文化が融合した知床周辺特有の文化)の竪穴住居も復元されています。
伊茶仁カリカリウス遺跡は、内陸側からだとわかりづらい場所にあるので、ポー川史跡自然公園を起点に湿原を抜ける道が迷わず到達できますが、朝夕はヒグマに遭遇する危険があるので歩行は危険。
標津町歴史民俗資料館から伊茶仁カリカリウス遺跡入口までレンタサイクルで10分、徒歩で20分。
ヒグマ出没時には立入禁止の処置がとられています。
探勝にあたっての詳細は標津町ポー川史跡自然公園にまずは問い合わせを。
伊茶仁カリカリウス遺跡 | |
名称 | 伊茶仁カリカリウス遺跡/いちゃにかりかりうすいせき |
所在地 | 北海道標津郡標津町伊茶仁57-1ほか |
関連HP | 標津町公式ホームページ |
ドライブで | 根室中標津空港から約20km |
駐車場 | 10台/無料 |
問い合わせ | ポー川史跡自然公園 TEL:0153-82-3674 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |