姥神大神宮

姥神大神宮の創建は定かでありませんが地元の折居という名の老女(天変地異を未然に知らせる老女)を折居様と崇めたことに由来し、1447(文安4)年といわれています。つまりは北海道最古の神社。有名な『渡御祭』(8月9日〜11日)は、京の祇園祭の流れをくむもので、北前船での交易によってもたらされた、最北の『祇園祭り』です。

北前船で栄えた江差にある北海道最古の神社

姥神大神宮創建の15世紀半ばは、和人の夷島(えぞがしま=中世の北海道の呼称)進出の時代で、1443(嘉吉3)年に上ノ国の上國寺、1441(嘉吉元)年には泊(現・江差町)の観音寺が創建されています。

松前藩史『新羅之記録』によれば1443(嘉吉3)年は、津軽相内の安藤盛季(あんどうもりすえ)が南部氏との戦いに敗れて夷島(北海道)に逃れた年。
その際、真言宗の僧侶や修験者も同行したと伝えられるので、和人や修験者の上陸との関わりも大いに推測されます。

海岸の津花地区から現在地である江差の中心地に鎮座したのは松前藩3代藩主・松前氏広の治世、1644(正保元)年。

北前船と姥神大神宮
松前藩の初代藩主・松前慶広(まつまえよしひろ)は、1604(慶長9)年、徳川家康からアイヌ交易の独占権を公認され、柳川湊(彦根城下・愛知郡柳川村にあった琵琶湖の港湾)の建部七郎右衛門(たけべしちろうえもん/屋号は材木屋)や田付新助((たづけしんすけ/屋号は福島屋)を上手に取り込み、京・大坂の情報と物資を仕入れ、日本海(敦賀経由)と琵琶湖を使った交易ルートを確立しています。

蝦夷地進出の先駆けとなった近江商人、建部七郎右衛門の材木屋、田付新助の福島屋は、ともに1610(慶長15)年に松前に出店。
この北前船の終点に位置する姥神大神宮は、北前船の廻船問屋の守護神ともなったのです。

拝殿には明治12年に弁財船の所有者である江差姥神町の船主・田口伊兵衛が6隻の船頭とともに航海の安全を祈って奉納した船絵馬も懸かっています。
琵琶湖・湖東の能登川(現・東近江市)からは、旧中村家を建てた回船問屋・大橋宇兵衛(種町)、北前船による交易を広めた田口伊兵衛(今町)と、蝦夷地進出の近江商人を生んでします。

姥神大神宮に奉納の船絵馬

 

姥神大神宮
名称 姥神大神宮/うばがみだいじんぐう
所在地 北海道檜山郡江差町姥神町99
関連HP 江差町公式ホームページ
電車・バスで JR江差駅から徒歩20分
ドライブで 函館空港から約80km
駐車場 江差追分会館駐車場(20台/無料)
問い合わせ 姥神大神宮 TEL:0139-52-1900/FAX:0139-52-1910
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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