昭和30年代の鉄道貨物黄金時代には国内輸送の5割以上を占めた鉄道貨物。現在の鉄道貨物はなんと1%を切るほどに。そんななかで、今もトラックやフェリー輸送に負けずに健在なのが、北海道からのタマネギ列車と、じゃがいも列車。ところがタマネギ列車には存続の危機が訪れているのです。
北見産のタマネギは石北本線を使って貨物輸送


タマネギ生産量日本一を誇るのが北海道北見市。
例年8月下旬〜9月下旬頃までがタマネギ出荷の最盛期で、それに合わせて「タマネギ列車」と呼ばれる貨物列車が運転されています。
北海道には十勝平野で産するじゃがいも(馬鈴薯)を輸送するじゃがいも列車が、毎年9月中旬〜10月上旬、帯広貨物駅(北海道帯広市)〜熊谷貨物ターミナル駅(埼玉県熊谷市)に運転され、北見のタマネギ列車と並んで風物詩的な存在です。
タマネギ輸送の4割を支えるのが、JR貨物のタマネギ列車。
正式名称は、「石北臨貨」(列車番号=上り「8074レ」)で、北見駅〜北旭川駅間に収穫期から翌年春頃まで運転されています。
終点は北旭川駅ではなく、さらに札幌、本州方面の消費地へと継走し、日本国内のタマネギ需要を支える貨物列車となっているのです。
北見駅を出た貨物列車は石北本線の常紋峠(北見市と遠軽町との境界、金華駅〜生田原駅間)、石北峠を越えるため先頭の機関車が引っ張り、最後尾にプッシュする役割の機関車を配するという「プッシュ・プル方式」を採用。
平成の時代には機関車の老朽化で、存続の危険性もありましたが、機関車の更新でなんとか令和の時代のタマネギ輸送を確保しているのです。

大赤字の石北本線の存続に黄信号点灯

ところが、JR石北本線が利用者の減少や巨額の赤字により存廃の危機に直面。
もし廃止されると、タマネギ輸送もトラック輸送に置き換わることになるのです。
現在でも、石北本線に並行する国道や高規格道路(旭川・紋別自動車道)に、JRコンテナを積んだトラックが走行していますが、本州までの長距離輸送は、トラック+フェリーよりも、スピードもコストも鉄道貨物に分があるのです。
国内産のタマネギのうち、北海道産は6割ほどを占めますが、そのうちの3分の2ほどが北見産。
つまり、普段目にしているタマネギの3割以上が北見産ということに。
11両の貨車に積み込めるコンテナの数は最大55個。
それが1日1往復。
安い輸送コストで、一度に大量の北見産タマネギを運ぶことができる鉄道貨物で運べなくなると、生産者だけでなく、消費者も大いに困る事態に。
なぜなら、「ドライバー不足」でトラック代替にも限界があるから。
もし、石北本線が廃止されたら、首都圏でのタマネギ価格も高騰すると推測されるのです。
北海道庁が掲げる「北海道交通政策総合指針 重点戦略【2026-2030】」でも、「シームレスな交通」が重点戦略の柱として位置づけられていますが、タマネギ列車の行方は、混沌としているのです。
| 本州にタマネギを運ぶ「タマネギ列車」に、存続の危機到来!? | |
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