北海道川上郡弟子屈町(てしかがちょう)、清里町にある摩周カルデラのカルデラ湖が摩周湖。『霧の摩周湖』(昭和41年、作詞:水島哲、作曲:平尾昌晃、歌:布施明)のヒットにもあるように、霧に包まれることが多いので、「晴れた摩周湖を見ると晩婚」などという伝承も。日本一の透明度を誇り、北海道遺産にもなっています。
アイヌが「神の湖」と讃えた神秘の湖
平成3年の環境省「自然環境保全基礎調査」(湖沼調査)のデータでも、摩周湖の透明度は28.0mと国内第1位(2位は倶多楽湖の22.0m)。
世界的にもバイカル湖に次ぐ透明度だとされています。
透明度の高さは、流入河川のないカルデラ湖で、周囲の外輪山の自然が守られていること。
またエゾシカも転落するという険しい内壁のため、湖面に触れることができないという環境が、透明度を守っているのです。
東西26km、南北20kmの日本最大の屈斜路カルデラの誕生(40万年〜4万年前)後、カルデラ内での7000年前の大噴火で摩周カルデラが誕生したもの。
つまりカルデラ(屈斜路)内のカルデラ(摩周)という二重カルデラ構造になっています。
摩周湖は、アイヌは、カムイトー(kamuy-to=神の湖)と呼び、外輪山最高峰の摩周岳は、カムイヌプリ(kamuy-nupuri=神の山)、浮かぶ島のカムイシュ島は、カムイシュ(kamuy-shu=神の岩)と、すべて神の住処(すみか)という神秘的なイメージになっています。
摩周という湖名は、アイヌ語のマシウント(mas-un-to=カモメ・そこにいる・沼)に由来とも推測できますが、摩周湖周辺のアイヌはカモメをカピウ(kapiw)と呼ぶこと(masと呼ぶのは北海道北部と西部のみ)、さらに摩周湖でカモメを見ることはないので、不思議な事例としかいえないのです。
摩周湖の展望台は3ヶ所+摩周大観望
展望台は、車道の通じている表摩周側(弟子屈町側)の摩周第一展望台、摩周第三展望台、裏摩周側(清里町側)の裏摩周展望台の3ヶ所。
摩周第一展望台はツアー客(大型バス)も多い、もっともポピュラーな展望台ですが、観光シーズンの「摩周湖の霧」は、太平洋の湿った空気が釧路湿原で温められ、摩周カルデラにぶつかった上昇気流で生じるものなので、釧路湿原に近い摩周第一展望台は、もっとも霧に覆われる確立が高い展望台です(冬季は摩周第一展望台への道のみ除雪)。
カムイシュ島を眼下に、正面に摩周岳(カムイヌプリ)を目にするのが摩周第三展望台で、こちらはまず大型バスのツアー客はやってこないので、個人客にはおすすめの展望台です。
湖面にせり出すように展望台が設けられているので撮影ポイントにも絶好。
駐車場からは屈斜路湖、硫黄山、遠く阿寒の山並みを眺望し、二重カルデラであることがよくわかります。
神秘的な摩周湖を体験したいなら、周辺に宿を取り、早朝か日没時に訪れるのがおすすめです(鹿の飛び出しなど運転には注意が必要、また夏でも車のヒーターを入れるほど冷え込むので防寒具をお忘れなく)。
裏摩周展望台は、標高が低く、オホーツク海側なので、もっとも湖面の見える確立が高い展望台です。
太平洋高気圧に本州が覆われるような日に、摩周第三展望台が霧に包まれていたら、裏摩周に足を伸ばす手もあるかもしれません。
摩周第三展望台と裏摩周展望台の間に、川湯パーク牧場の「摩周湖ホーストレッキング」でしか到達できない摩周大観望があります(登山道を馬で上りますが、環境省などから馬でのみ登山が許可されています)。
ちなみに、この摩周大観望という呼び名は、本サイトを運営するプレスマンユニオン関係者の命名。
摩周湖 | |
名称 | 摩周湖/ましゅうこ |
所在地 | 北海道川上郡弟子屈町・清里町 |
関連HP | 摩周湖観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR摩周駅前から阿寒バス女満別空港方面行きで、摩周第一展望台下車、または、摩周第三展望台下車 |
ドライブで | 根室中標津空港から約60kmで摩周第一展望台、約63kmで摩周第三展望台 |
駐車場 | 摩周第一展望台駐車場(140台/4月上旬~11月上旬の8:00~17:00は有料(硫黄山駐車場との共通券)、その他の期間は無料)・摩周第三展望台(14台/無料) |
問い合わせ | 摩周湖観光協会 TEL:015-482-2200 |
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