国鉄士幌線・十勝三股駅跡

国鉄士幌線・十勝三股駅跡

北海道河東郡上士幌町三股、糠平湖から三国峠へと向かう国道273号沿いにあるのが、国鉄士幌線・十勝三股駅跡。国鉄士幌線は、大正14年に帯広〜士幌間を軽便鉄道として開業、昭和14年11月18日に十勝三股駅まで延伸していますが、その際に開業したのが十勝三股駅です。

かつて大雪山中に木材搬出で賑わった町があった!

国鉄士幌線・十勝三股駅跡

昭和14年11月18日に開業した十勝三股駅。
北海道内の駅としては最高所の661.8mに位置していただけでなく、大雪山の奥深く、原生林の中の終着駅でした(蒸気機関車の時代なので転車台も整備されていました)。
音更川(おとふけがわ)、中の川、十四の沢の川の合流点であることが名の由来。

士幌線はもともと「十勝国上士幌線ヨリ石狩国ルベシベ(上川)に至ル鉄道」と計画されていましたが、三国峠を越えることは夢と消え、十勝三股止まりで延伸はありませんでした。

昭和11年に発生した暴風で、三股盆地に多くの風倒被害が発生。
風倒木を搬出するために、昭和13年に馬車鉄道を敷設し、風倒木の搬出を開始(音更川の流送に頼っていた原木輸送を鉄道輸送に転換)。
切り出された木材を搬出するため、国鉄士幌線が十勝三股まで延伸されたのです。

昭和19年には音更本流森林軌道が敷設され、森林鉄道と国鉄の連携で木材を搬出した時代が続きました(昭和33年、音更本流森林軌道廃止、最長時の昭和26年に8.8km)。

幌加駅〜十勝三股駅間は、大雪山系の原生林を走る路線で、幌加駅も昭和20年に帯広営林局上士幌営林署が貯木場(10.34ha)を設置、専用側線を敷設し、木材搬出の基地となっていました。

さらに昭和29年の洞爺丸台風(青函連絡船「洞爺丸」が転覆)後の風倒木の処理でも活躍し、昭和 20年代~30年代の最盛期には、十勝三股に1500人が暮らし、上士幌町立三股小中学校、保育所が建っていました。
豊かな森に戻りつつある現在からは想像のつかない活気ある町があったのです。

昭和62年3月23日、国鉄士幌線は全線(78.3km)廃止となり、十勝三股駅も廃駅に。
駅跡は、広い構内跡が草に覆われ、原野に戻りつつあります。
森林鉄道修理庫などが残りますが、危険があるため立入禁止に。

旭川駅前と帯広駅バスターミナルを結ぶ都市間連絡バス「ノースライナーみくに号」が1日1往復運行され、十勝三股バス停に停車します。

国鉄士幌線では、旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群と幌加駅のホームが国の登録有形文化財に指定され(橋梁34基が北海道遺産にも選定)、なかでもタウシュベツ川橋梁は外国人観光客も多数訪れる観光スポットになっています。

十勝三股駅跡周辺は、ヒグマの生息地なので、見学にあたっては注意が必要。

国鉄士幌線・十勝三股駅跡
名称 国鉄士幌線・十勝三股駅跡/こくてつしほろせん・とかちみつまたえき
所在地 北海道河東郡上士幌町三股
ドライブで 道東自動車道音更帯広ICから約71km
問い合わせ 上士幌町観光協会 TEL:01564-4-2224
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

タウシュベツ川橋梁

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