硫黄山

アイヌ語で、アトサヌプリ(アイヌ語で裸の山)と呼ばれ、噴煙を上げる赤茶けた山肌が印象的な活火山。明治初期には、硫黄が採取されていました。川湯温泉街から硫黄山までは、全長2.5kmのつつじヶ原自然探勝路が整備されており、7月上旬にはエゾイソツツジが見事。駐車場横には硫黄山レストハウスがあり、いもだんごなどが味わえます。

アトサヌプリカルデラの巨大な溶岩ドームが硫黄山

噴気を上げる硫黄山(アトサヌプリ)
冬の硫黄山(アトサヌプリ)

美幌峠が外輪山の一部である屈斜路カルデラ(東西26km、南北20km)が形成されたのが、3.5万年前~2.5万年ほど前。
その中央部に2万年前、直径4kmのアトサヌプリカルデラが生まれ、さらにその中心に溶岩ドーム群が誕生したもの。

アトサヌプリ(標高508m)、その西のマクワンチサップ(574.1m)、北側のサワンチサップ(520m)など一帯に数あるドーム型の山々は、アトサヌプリカルデラ内の溶岩ドーム群です。

ちなみに国土地理院の地形図にもアトサヌプリとあり、正式な山の名はアトサヌプリ。
あくまでも通称が硫黄山ということになります。

駐車場からはこんな場所を歩く
噴気孔に大接近

硫黄山は落石の危険のため、登山禁止

山頂の東側直下には「熊落し」と呼ばれている深さ約60mにもなる火口跡があり、アイヌがこの凹地に熊を追い落としたことが名の由来になっています。
この火口跡は、数百年前の水蒸気爆発で誕生したもの。

平成12年に硫黄山登山中の落石事故で2名が亡くなるという痛ましい事故が発生。
硫黄山は現在、落石の危険性があることから登山者の安全を考慮して立ち入り禁止に。

硫黄山温泉という露天風呂もありますが、こちらも立入厳禁です。

硫黄山
摩周外輪山から眺める硫黄山

戦前は硫黄の採掘も行なわれていた!

硫黄山山麓の硫黄鉱山は、明治時代に開発されたもので、明治20年には標茶(しべちゃ=現在の標茶駅近く)と鉱山の間に安田鉱山鉄道(釧路鉄道、後に弟子屈までは釧網本線の路盤に転用されています)も敷かれて硫黄の輸送に使われました。

ここで採掘された硫黄は、釧路の炭鉱や港湾の発展にもつながっているのです。
硫黄山山麓の廃線跡は、硫黄山レストハウス跡の「青葉トンネル」がその代表格で、馬車観光のルートにもなっています。

また、鈴木京香主演の連続テレビ小説『君の名は』(平成3年)、西部劇をリメイクした渡辺謙主演の映画『許されざる者』(平成25年)のロケ地にもなっています。


 

硫黄山
名称 硫黄山/いおうざん
所在地 北海道川上郡弟子屈町川湯硫黄山
関連HP 摩周湖観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR川湯温泉駅から徒歩20分
ドライブで 根室中標津空港から約67km
駐車場 136台/4月上旬~11月上旬の8:00~17:00は有料(摩周湖第一展望台駐車場との共通券)、その他の期間は無料
問い合わせ 硫黄山レストハウス TEL:015-483-3511
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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