【知られざる北海道】vol.6 野幌森林公園で「森の巨人」クリの巨木に出会う

広大な石狩平野のほぼ中央の野幌丘陵にあり、開拓時代ほぼそのままの自然を保っているのが道立自然公園野幌森林公園です。大都市に隣接した平地林として世界的にも大変貴重な森林で、全体の8割、1603haは国有林ですから、今後も開発からは守られることでしょう。その森のなかに「森の巨人」といわれる栗の巨木が!

鎌倉時代に芽生えたクリが巨木となって現存!

開拓時代そのままの自然が残される野幌森林公園
開拓時代そのままの自然が残される野幌森林公園
 
野幌森林公園は、江別市・北広島市にまたがっていますが、江別市側にあるクリの巨木は、林野庁の「森の巨人たち百選」にも選定される立派なものです。
北海道以外では観光的にもほとんど知られていない野幌森林公園ですが、その偉大なる自然の入口だけでも見学してみましょう。

公園内には遊歩道も整備され、紅葉狩りにも絶好
公園内には遊歩道も整備され、紅葉狩りにも絶好
 

「自然ふれあい交流館」がビジターセンター

野幌森林公園にあるクリの巨木は、樹齢が推定500年、樹高18m、幹周455cmという堂々たるものです。
「大都市に近い森林としては驚くほど原生的で、開拓以前の自然の様子を知ることができます」(北海道環境生活部環境局生物多様性保全課)とのこと。

野幌森林公園一体は元来クリの木が多かったそうですが、明治21年ころに始まった入植で、木炭や家具材として伐採されたものが多く、今では開拓時代に「ご神木」と崇められたこの巨木だけがポツンと残されているに過ぎません。

昭和29年に周辺を伐採してトドマツを植林した際もこの木だけは保存されました。
「昭和の森のクリ」、「自生北限付近のクリの巨木」と呼ばれていますが、正式な名前はいまだについていません。

ちなみに縄文時代からクリは木材として、食料として重宝されてきましたが、現在の気候風土ではニホングリの北限が美唄(びばい)あたり。
道南に自生するニホングリ(通称シバグリ)の分布は、美唄市付近を北限に、札幌・小樽地区以南、そして新冠・浦河地区以西の北海道南西部全域となっています。

この「昭和の森のクリ」、野幌森林公園にある5ヶ所の入口のひとつ、登満別口にある登満別駐車場から徒歩で10分ほどのところにあります。
近くにあった「森林の家」は解体されてしまい、ビジターセンター的な施設は大沢口にある「自然ふれあい交流館」のみとなっています。
大沢口と「昭和の森のクリ」のある登満別口は離れているので(下の地図を参照)、車での移動が無難です。

大沢口にある「自然ふれあい交流館」
大沢口にある「自然ふれあい交流館」

 

野幌森林公園
名称 野幌森林公園/のっぽろしんりんこうえん
所在地 北海道江別市西野幌ほか
関連HP 北海道公式ホームページ
電車・バスで 大麻駅から徒歩30分で大沢口、JR森林公園駅から20分で記念塔口
ドライブで 道央自動車道江別西ICから約5km
駐車場 大沢口(40台)、記念塔口(250台)、瑞穂口(20台)、トド山口(10台)、登満別口(100台)/無料
問い合わせ 野幌森林公園 TEL:011-898-0455
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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ラジオ・テレビレジャー記者会会員/旅ソムリエ。 旅の手帖編集部を経て、まっぷるマガジン地域版の立ち上げ、編集。昭文社ガイドブックのシリーズ企画立案、編集を行なう。その後、ソフトバンクでウエブと連動の旅行雑誌等を制作、出版。愛知万博公式ガイドブックを制作。以降、旅のウエブ、宿泊サイトにコンテンツ提供、カーナビ、ポータルサイトなどマルチメディアの編集に移行。