えりも緑化資料館「みどり館」

えりも緑化資料館「みどり館」

北海道えりも町、襟裳岬(えりもみさき)から百人浜を目指すと、道道横には美しいクロマツ林が広がります。実は、このクロマツは、昭和28年に始まった襟裳岬の緑化事業(百人浜緑化事業)で誕生したもの。その緑化事業を紹介するのがえりも緑化資料館「みどり館」(林業総合センター)です。

壮大なプロジェクト「百人浜緑化事業」を学ぶ

百人浜周辺の海岸線は、かつてはカシワ、ミズナラ、シラカバなどの広葉樹に覆われていました。
明治以降の開拓で、燃料として木々が伐採され、牛・馬・綿羊の放牧などによって原生林は切り開かれていったのです。
その後、襟裳岬特有の強風により、海岸部は砂漠化が進み、土が海に入って海藻にも影響を及ぼし、回遊魚や沿岸の魚も減少し、漁業への影響も多大となったのです。

そうした問題を背景に、昭和28年からクロマツなどを植林する緑化事業が始まり、今では美しいクロマツ林が誕生しているのです。
襟裳岬から百人浜にかけて海岸沿いの森は、この植林されたクロマツ、カシワ。
実は北海道にはクロマツは自生していませんが、塩害や砂丘の生育ということでクロマツが選ばれたのです。
えりも地区は寒さ、風の強さに加え、霧の発生が多く(年間の濃霧発生日数は100日以上に達し、5月〜8月の月平均濃霧発生日数は20日)、日照が十分でないため、植物の成長がしづらく、緑化には困難を極めました。
えりも緑化資料館「みどり館」では緑化事業に使われた道具などが展示され、「えりも砂漠」と呼ばれた土地が豊かな緑と海を取り戻した緑化事業の歴史を学ぶことができます。

この百人浜緑化事業は、NHK『プロジェクトX 挑戦者たち えりも岬に春を呼べ~砂漠を森に・北の家族の半世紀~』(平成13年放送)でも紹介されています。

えりも緑化資料館「みどり館」
名称 えりも緑化資料館「みどり館」/えりもりょくかしりょうかん「みどりかん」
所在地 北海道幌泉郡えりも町えりも岬236番地先
関連HP えりも町公式ホームページ
電車・バスで JR日高線様似駅からえりも岬・庶野・広尾方面行きJRバスで1時間、岬小学校前下車、徒歩3分
ドライブで とかち帯広空港から約100km
駐車場 あり/無料
問い合わせ えりも町産業振興課 TEL:01466-2-4626
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
百人浜

百人浜

北海道えりも町、襟裳岬(えりも)から庶野(しょや)まで続く15kmの砂浜。百人浜のバス停前にある一石一字塔は、江戸時代に南部藩の御用船が難破し、この浜で息絶えた100人の乗組員の供養塔。これが百人浜の名の由来となっています。その横には悲しい

クロマツ林遊歩道

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北海道えりも町、襟裳岬から百人浜にかけての道道34号襟裳公園線沿線に広がるクロマツ林は、開拓以後の広葉樹の乱伐で砂漠化した土地の緑化事業(百人浜緑化事業)で誕生したもの。気の遠くなるような営みで面積421haの松林が誕生しています。えりも緑

えりも緑化資料館「みどり館」

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