2025年8月14日、北海道・知床半島にある羅臼岳(1661m)で下山中の登山者が熊に襲われ死亡するという痛ましい事故が起こりましたが、近年、人を恐れないヒグマが増加。札幌では11月に円山動物園に足跡を残すなど市街地やその周辺にも出没しています。
北海道のヒグマは遺伝的には3パターン!

北海道環境生活部自然環境局では、北海道ヒグマ管理計画に基づき、道内において市街地付近でヒグマが頻繁に出没、またはヒグマによる農業等被害の発生が懸念されるとき、市街地以外でヒグマによる人身被害が発生したときに、道民や来道者の皆さまに対して、ヒグマによる人身被害を防止することなどを目的に、「ヒグマ注意報」を発令していますが、2025年には札幌市中央区・豊平区・清田区・南区・手稲区の山麓周辺にも発令。
2025年の状況は、車をめがけて突進してくるヒグマ、人を襲うヒグマなど、「前例がない事態」と受け止める自治体関係者、アウトドア関係者も多くなっています。
北海道では、一般住民や観光客が犠牲になるのは記録を公表した1962年以降初めてのこと。
1987年〜2016年までの30年弱は負傷事故すら1件も起きていないのです。
ヒグマの生息数が増えているのかといえば、過去20~30年の間で最もクマが少ない状態とのこと。
1990年に春グマ駆除が廃止され、ヒグマが「人を恐れること」を学習しなくなった、観光客が増加し、餌を与えるケースなどが増えたなど、異常事態の原因に関しては様々な要因があげられています(ヒグマはブナの実を主食とせず、ブナ林も道南の一部に限られているので、ブナの豊凶はあまり関係がありません)。
北海道に生息するヒグマは、遺伝子解析から、道北-道央型グループ、道東型グループ、道南型グループの3つに分かれ、最初に北海道に移り住んだのが道南型だということが判明しています(日本がアジア大陸と陸続きだった氷河期に、大陸から本州を渡って北海道へ渡来)。
道東型グループは、この道南型とは異なり、道東エリアに北方系のオホーツク文化をもたらした先住民族と同様に、樺太(サハリン)方面からやって来たことが推測されています。
札幌などで出没する道北-道央型のヒグマは、最後に樺太(サハリン)方面からの渡来と考えられています。
ルーツをたどると微妙に異なるので、道東型の熊は人を襲わないなどという説が生まれたのですが、むしろ道東ではサケ・マスなど安定した食料が確保できたと考えるほうが自然かもしれません。
北海道では、ヒグマ出没情報をインターネット上に構築されたプラットフォームに収集・集積するクラウド型システム「ひぐマップ」(地域団体「森のくまさんズ」によって開発・運用)を運用。
開発チームの一員である北海道立総合研究機構環境科学研究センターでは、ヒグマの出没情報を分析し、ヒグマ問題個体数の推定を行なっています。
| 札幌市街地にも熊が出没! 北海道の熊出没状況は「ひぐまっぷ」でチェック | |
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