第57回大雪山層雲峡温泉峡谷火まつり|2019

狩猟採集を生業としていたアイヌは、狩猟の対象など生活の中で深い関わりを持つ動物をカムイ(神)として敬い、大切に取り扱ってきました。『大雪山層雲峡温泉峡谷火まつり』は、本来は数日にも及んだ神聖な儀式「シマフクロウの送り」(モシリコロ・カムイ・オプニレ)の送り日当日(本祭り)を公開する、珍しい行事です。

熊送りならぬ「シマフクロウの送り」の一部を再現

層雲峡温泉火まつり

ヒグマなどの動物を殺してその魂であるカムイを神々の世界(kamuy mosir)に送り帰すイオマンテ(iomante)。まさに熊の霊送りの儀式ですが、同様にコタンコロカムイ(部落の守護神)と呼ばれもっとも格式の高かったシマフクロウを神々の世界に送る「シマフクロウの送り」(モシリコロ・カムイ・オプニレ)がありました。

カムイを敬い、日常生活の中で常にカムイの存在を意識してきた人々が、たくさんのお土産を持たせてカムイの魂を送ることでその再訪を願い、食料の安定供給を求めるという、アイヌにとって最も重要な伝統儀礼です。
山中でシマフクロウのヒナを捕獲し、大きくなるまでコタンで育てあげ、モシリコロ・カムイ・オプニレ、あるいはコタン・コルカムイ・イオマンテとかといって、送りを行なっていました。

シマフクロウの生息数が少なくなったため、シマフクロウを飼育するという習慣が廃れたため、あるいはその儀式を司る古老がいなくなったために「シマフクロウの送り」は廃れてしまいました。

峡谷を彩る火の競演、太鼓やアイヌ古式舞踊などが神秘的に行なわれ、観光的にアレンジされているものの自然と共存したアイヌの貴重な儀式を体感できるイベントになっています。

層雲峡温泉峡谷火まつり

 

第57回大雪山層雲峡温泉峡谷火まつり|2019
開催日 2019年8月1日(木)
所在地 北海道上川郡上川町層雲峡
場所 層雲峡特設会場
関連HP 層雲峡観光協会公式ホームページ
駐車場 200台/無料
問い合わせ 層雲峡観光協会 TEL:01658-2-1811
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

ABOUTこの記事をかいた人

アバター画像

日本全国を駆け巡るプレスマンユニオン編集部。I did it,and you can tooを合い言葉に、皆さんの代表として取材。ユーザー代表の気持ちと、記者目線での取材成果を、記事中にたっぷりと活かしています。取材先でプレスマンユニオン取材班を見かけたら、ぜひ声をかけてください!