尻羽岬

尻羽岬

北海道釧路郡釧路町、厚岸湾(あっけしわん)の湾口に突き出した岬が尻羽岬(しれぱみさき)。よほどの北海道ツウでなければ、岬の名前を知る人も少なく、観光ルートを外れることから、訪れたことのある人も少ない岬。「北海道三大秘岬」(落石岬、雄冬岬、地球岬)には数えられませんが、尻羽岬こそが真の秘岬です。

道東屈指の秘岬に、草原を踏破して到達

尻羽岬
帆掛岩

尻羽は、アイヌ語のシリパ(sir-pa=大地・頭)に由来する地名で、断崖となった岬が海に突き出ている地形を表しています。

難読地名が連続する昆布森海岸を走る道道142号(根室浜中釧路線)の知方学(ちぽまない)入口で道道に分かれて海岸側の知方学を目指し、知方学小学校で尻羽岬の矢印に従って左折すれば尻羽岬の駐車場(シレパ駐車場)に到達します。
駐車場から岬突端にかけての台地は草原で、高山植物も生育。
600mほど歩けば海岸に出て(標高105m地点)帆掛岩を眼下にします。
運がよければ、帆掛岩周辺の磯でゼニガタアザラシを見ることも。

帆掛岩の展望地から先端部へは踏み跡をたどるしかありません。
夏場は藪をかき分けることになり、雨上がりにはアブの集中攻撃を受けるので、虫除けスプレーは必携です。
尻羽岬先端からは大黒島を眺望します。

一帯の海岸線は霧多布湿原を含めて、厚岸道立自然公園に指定されていますが、釧路町の来人臥(きとうし)から尻羽岬までの20kmは高さは50m~60mの海食崖が連続。
尻羽岬では100mほどの断崖となっています。
台地の上には、冷涼な気候を反映して、エゾミヤコザサの草原が広がり、風を避けることのできる谷地やわずかな凹地で、本州の森林限界近くに繁茂するミヤマハンノキの矮小化(わいしょうか)した風衝林が点在しています。
その周囲の森がミズナラやダケカンバなのも、本州だと標高が2000m〜2500mの気候に相当するからです(昆布森シレパ自然休養林に指定)。

夏に日本一涼しい海岸線には難読地名が連続!

都会が猛暑でうんざりする日に、日本でもっとも涼しいエリアが、釧路町の昆布森海岸から尻羽岬と、知床・羅臼町。
昆布森海岸は、昆布漁の最盛期となる夏場には千島海流(寒流)と日本海流(暖流)の混流によって生まれる海霧で覆われることが多く、それが冷涼な気候を生み出しています。
最高気温が20度以上というのは稀なので、長袖で、尻羽岬の「探検」を。

道道142号(根室浜中釧路線)には、知方学(ちぽまない)のほか、賤夫向(せきねっぷ)、分遺瀬(わかちゃらせ)、老者舞(おしゃまっぷ)、仙鳳趾村(せんぽうしむら)には難読地名が連続しますが、すべてアイヌ語由来の地名。
つまり、開発が遅れた分だけ、原始姓豊かな自然とオリジナルの地名が残されたというわけなのです。
昆布森海岸で夏場にバラストを敷いた浜は、昆布を干す干場なので、立ち入りは厳禁。

画像協力/北海道釧路総合振興局商工労働観光課

尻羽岬
名称 尻羽岬/しれぱみさき
所在地 北海道釧路郡釧路町仙鳳趾村
ドライブで たんちょう釧路空港から約60km
駐車場 10台/無料
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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