北海道上川郡上川町、大雪山国立公園の中心をなす層雲峡から登る頂が黒岳(1984m)。標高2000m内外のなだらかな高原となった頂上部は、8月中旬まで豊富な残雪が残り、高山植物のお花畑が楽しめます。出発点は、大雪山層雲峡ロープウェイと黒岳ペアリフトを乗り継いだ黒岳7合目。山頂へは1時間30分ほどで到達します。
黒岳ペアリフト7合目から黒岳登山
黒岳ペアリフトを降りた黒岳7合目の林野庁黒岳パトロール事務所で入林届に記入して、登山をスタートさせよう。
黒岳山頂直下、マネキ岩が頭上にそびえる一帯はお花畑で、急登の疲れを吹き飛ばしてくれます。
健脚の人なら1時間少々で山頂ですが、初心者は焦らずのんびりと登るのがコツ。
時間と余力があれば、黒岳山頂から旭岳方面への鞍部へと下り、黒岳石室(登山シーズンには管理人が常駐)あたりまで足をのばすのがおすすめです。
山頂から黒岳石室は、往復1時間ほど。
石室周辺は8月まで雪渓が残り、チングルマが足の踏み場もなく咲き誇るお花畑です。
さらに北海岳方面へ少し歩けば、雪渓、沢、お花畑が連続する大雪山らしい風景が展開しますが、ヒグマの生息地であることを念頭に、行動を(ヒグマを誘引する食事などは厳禁です)。
ちなみに大雪山という山はなく、山系(火山群)全体の総称が大雪山です。
大町桂月の大雪山縦走と黒岳・桂月岳
黒岳石室の北にそびえる桂月岳(1938m)は、層雲峡の命名者である文豪・大町桂月の名を冠した頂(黒岳石室〜桂月岳は登り20分、下り10分)。
大正10年8月22日、大町桂月は層雲峡から当時は無名峰だった桂月岳に向かいハイマツ帯に苦しみながら山頂に到達後、黒岳、北鎮岳、白雲岳、旭岳と縦走、8月26日に天人峡温泉(当時は松山温泉)に下山しています。
この時の紀行文 『 層雲峡より大雪山へ』冒頭の一説が、登山家には有名な「富士山に登って、山岳の高さを語れ。大雪山に登って、山岳の大(おおい)さを語れ。」のフレーズです。
「偃松いつしか尽きて、ここに黒岳の一峰の上に立てり。さても大雪山の頂上の広きこと哉。南の凌雲岳、東の赤岳、北の黒岳の主峰など、ほんの少しばかり突起するだけにて、見渡す限り波状を為せる平原也。少し下り、凌雲岳を右にして行くに、お花畑連続す。千島竜胆は紫也。雪間草は白也。小桜草は紅也。兎菊は黄也。梅鉢草、岩桔梗、四葉塩釜など一面に生いて、足を入るるに忍びざる心地す。石原の処には、駒草孤生す。清麗にして可憐なる哉。」(『 層雲峡より大雪山へ』の黒岳部分を抜粋)。
大雪山・黒岳 | |
名称 | 大雪山・黒岳/たいせつざん・くろだけ |
所在地 | 北海道上川郡上川町層雲峡 |
関連HP | 大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイ公式ホームページ |
電車・バスで | JR上川駅から道北バス層雲峡行きで30分、終点下車、徒歩5分でロープウェイ層雲峡駅 |
ドライブで | 旭川空港から約71kmで公共駐車場 |
駐車場 | 公共駐車場(200台/無料) |
問い合わせ | 大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイ TEL:01658-5-3031/FAX:01658-5-3019 |
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