北方領土の国後島(くなしりとう)を眼前にする北海道・羅臼町。根室海峡に、シャチの大群が出没しています。毎年、初夏には根室海峡にシャチの大群がやって来ます。世界自然遺産に登録される海域は、この季節、プランクトンが爆発的に増加。それをめがけて魚が、鯨類が大集結! 自然大好き人間も集結を!
羅臼港から出航の2時間半のクルーズに乗船
知床の海の生態系の頂点に立つシャチ(クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科シャチ属)。
知床の遺跡からも先住民族がシャチを海の神と崇め、ヒグマを陸の神と崇めた遺物が出土しています。
知床が世界自然遺産に登録される最大の理由は、この根室海峡の豊かな海なのです。
それを知るために、羅臼港から2017年6月14日8:30、「アルラン3世号」に乗船、根室海峡へと繰り出しました。
羅臼港を出航して約30分。
相泊(陸では道道87号知床公園羅臼線の終点)沖で、まずは最初のシャチに遭遇。
さらにルサ(知床世界遺産ルサフィールドハウスが建つ。ここから半島先端部の海域が世界遺産海域)沖にかけての海域で、シャチがワンサカ出没。
「メスが、子供を引き連れて群れで泳ぎ、オスは少し離れたところで見守っています。オスは警戒心が強いのですが、子供のシャチは好奇心が強いので、一緒に並走して観察できるのです」とはガイドの中村さんの解説。
解説を聞いているうちに、シャチが船に近づき、背びれを叩いたり、お腹を見せて泳いだりと、なにやら水族館のよう。
さらに、船の下をくぐって、楽しそうに遊んでくれます。
船の下をくぐってシャチが船と戯れた!
海の透明度が高いので、シャチの白い部分が海面下にもしっかりと分かるので、船の近くを並走してくれれば、潜っていても浮上のタイミングが分かります。
というわけで、シャッターチャンスは何十回とあるわけで、正直、撮り飽きるほど、取り続けることが可能。
「動画を撮ったりすれば一眼レフのバッテリーが無くなっちゃうので、換えのバッテリーは必需品」(ブロガー・Sさんの話)。
この季節には同時に南太平洋から3万2000kmを旅してやってくるハシボソミズナギドリの大群も根室海峡で観察できます。
タスマニアの近郊の島々で繁殖し、根室海峡に餌を求めて数万羽の大群が訪れるのです。
「今年(2017年)はなぜだか、かなり少ないのが気がかり」とガイドの中村さんも首をかしげます。
シャチとハシボソミズナギドリの競演がハイライトとなるころ(例年は6月下旬)、悠然とマッコウクジラが現れ、7月〜8月はマッコウクジラのホエールウォッチングのシーズンとなるのです。