「ワイングラス型の漁港」(正式名は島式漁港)なる言葉を知る人は、かなりの土木通でしょう。遠浅で干満の激しい海岸だと、漁港を造っても砂で埋もれたり、観潮の時に沖までの長い砂浜ができて漁船の上げ下ろしに難儀します。そこで、海岸の沖合に人工島のような漁港を造り、海岸と橋で結ぶというのが「島式漁港」です。
千歳空港から一路長万部へ
日本初登場は、10年の歳月を掛けて1994年に完成した国縫漁港(くんぬいぎょこう=北海道長万部町)です。
穴場スポット大好きな取材班は、「島式」とか、「おやまんべい」(長万部BAYのつもりのさえないギャグ)を車中に放ちながらレンタカーを長万部方向に走らせたのです。

目指すは函館本線の国縫駅です。駅近くに噂の漁港があるからです。
カーナビにもなんかイマイチ表現されない漁港ですが、ここで、スマホでGoogle地図を眺めて、「どひゃー」となったのです。
空からや地図からなら「おおーっ」と感動できるでしょう。まさにこの『珍日本紀行』にピッタリのユニークな形状です。
後から裏付け取材をして判明したのですが、防波堤が弧を描くのは海流に与える悪影響を最小限に抑えるためとか。
しかも穏やかになった背後の海に、浅海生物を育む場としたいという構想もあるそうです。
防波堤が浜から離れた位置にあるため、砂浜を消失することがないというのが島式漁港のメリットというわけなのです。
道央自動車道の国縫ICからは、国道5号へとアクセスする道道を走り、国道の信号をそのまま突っ切れば国縫漁港へと通じる橋に出ます。
橋の手前には小さいながら園地も整備されていますが、残念ながら地上からはイマイチ感動が湧きません。
長万部観光協会のブログページでは、美しいだけでなく、人と自然にやさしい、全国初の「ワイングラス型漁港」と自慢げに、美しい空撮画像も掲載されています。
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |