北海道で「ヒグマのいない聖地」というのは離島の利尻島、 礼文島、天売島、焼尻島、奥尻島などだけで、その他の場所はほぼ全域にヒグマの出没の可能性があります。道南・渡島半島も同様ですが、函館市街地にそびえる函館山にはヒグマは生息しておらず、安心して登山、そして夜景鑑賞が楽しめるのです。
陸繋島で大型動物が暮らすには狭すぎるのが理由

函館市によれば「ヒグマはもちろんのこと、函館山にはシカなどの大型動物も生息していません」とのこと。
なぜヒグマがいないのかに関しては、函館山が孤立した陸繋島(りくけいとう)だからというのが定説です。
函館山はもともと海の中の島でしたが、沿岸流で砂が運ばれ堆積、砂州(トンボロ)が成長して陸と繋がったという地形です。
砂州部分が函館市街地で、函館山から眺める夜景は眼下に砂州(市街地)を見ていることに。
かつては離れ小島だった函館山に熊がいないのは、本州では関東平野で山岳部と隔絶された千葉県に熊がいないのと似た理由です。
千葉県も縄文海進(温暖化した縄文時代、海が内陸の奥まで進出)の際には陸からの往来が不便な状態になっています。
加えて函館山は、ヒグマやエゾシカなど大型動物が生息するには少し狭いという問題が。
他エリアからの「渡り」も市街地があるので可能性はゼロに近く、ヒグマのいない希少な場所となっているのです。
近年、函館山でエゾシカの目撃情報があったことがありますが、事実だとしてもこれも「渡り」と考えられます。
明治28年に函館山は津軽海峡守備のため要塞化しており(立入禁止に)、結果的に豊かな自然が残される聖地に。
しかもヒグマもいないので、無雪期に登山してみるのもおすすめです。

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