総面積1700haは、東京ドーム358個分という広さを誇る公共育成牧場(JA上士幌町が管理・運営)が、北海道上士幌町のナイタイ高原牧場。夏場は広大な草地で放牧し、冬は7棟ある畜舎で飼育するという育成牧場ですが、あまりに広大すぎて探すのが大変というのを体感できるのも、このナイタイ高原牧場です。
丘陵にあるので、その広大さを実感しやすい

公共育成牧場とは、聞き慣れない言葉かもしれませんが、6ヶ月以上の低月齢牛(乳牛)を農家(飼い主)から預かり、環境の良い土地で放牧、育成し、授精させ妊娠牛として分娩間近くなってから農家(飼い主)に戻すという、育成牛預託専門の牧場です。
ナイタイ高原牧場は、大雪山系南端部のナイタイ山(1131.8m)の東山腹、標高400m〜標高950mの樹林帯を切り開いて牧草地(放牧地)にし、そこに250頭ずつに分けた11群の乳牛を放っています。
ナイタイ高原牧場の背後のナイタイ山の稜線を越えた先には然別湖(しかりべつこ)、秘湖で知られる東雲湖(しののめこ)があります。
北海道道806号から分かれ、ナイタイ高原牧場内の舗装道路を上ると、周囲に牧草地と放牧風景が広がりますが、標高785mに「ナイタイテラス」(NAITAI TERRACE)が整備され、牧草地を一望にする展望カフェ、展望テラスとショップが設けられています。
「ナイタイテラス」を目的地にドライブするのがわかりやすいでしょう。
毎年牧草が芽吹く5月に放牧がスタート、牧草が枯れる10月頃まで放牧は続き、牧草が枯れると牛舎に入って冬を越します。
「放牧地は草の育成具合で選んでいます」(JA上士幌町)ということなので、1700頭余りが放牧されているとはいえ、必ずしも道路近くとは限りません。
JA上士幌町で生産する牛乳は、年間12万5000t。
北海道でもトップクラスの生産量ですが、それを支えているのがナイタイ高原牧場と、夏も冷涼な高原の気候です。
ナイタイテラスの展望テラスなどからは、牧場を一望にするだけでなく、十勝平野、遠くは阿寒の山並みまで眺望できるので、双眼鏡を持参するのがおすすめです。
北海道の大牧場とえいば、サロベツの大規模草地牧場(豊富町/1500ha)とナイタイ高原牧場が巨大牧場の双璧です。
十勝を旅する機会があるなら、ぜひ一度、寄り道をおすすめします。
なお、牧場入口ゲート開放時間があり、7:00~18:00(6月〜9月は19:00まで)となっています。
撮影/大石正英


【十勝風景街道】 「日本一広大な公共牧場」ナイタイ高原牧場 | |
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