北海道河東郡上士幌町、糠平ダムのダム湖・糠平湖(ぬかびらこ)に架かる、旧国鉄士幌線・タウシュベツ川橋梁。昭和12年に架橋された全長130mのコンクリートアーチ橋ですが、完成から90年近く経過し、廃止からも40年ほどたつので劣化も進み、徐々に崩落が・・・。
「崩落前に見ておこう」という観光客も多数
タウシュベツ川橋梁は糠平ダムの完成で、渇水期のみ美しいアーチ橋が姿を表すため「幻の橋」ともいわれ、今ではSNSでも拡散され、訪日外国人観光客も訪れる観光地になっています。
例年、大雪山系の雪解けで水位が上昇する5月頃から沈み始め、夏頃には湖底に沈んで姿が見えなくなり、ダムの水が少ない湖の氷結が始まる12月〜1月頃に湖面にその姿を現わします。
これは降雪量や降水量などによっても大いに異なり、令和6年は7月になってもまだ見ることができています。
見学は、「ひがし大雪自然ガイドセンター」のツアーに参加する必要がありますが、近年、地元を悩ませているのが、崩落が進んでいること。
令和5年の春にも大規模な崩落が3ヶ所で確認され、毎年のように、。「11連アーチがつながって見られるのも今年が最後」といわれるまでに劣化が進んでいます。
10本ある橋脚のうち、数ヶ所はすでに上部がV字状に大きく崩れ、崩落も間近に迫った段階。
平成15年9月26日の十勝沖地震で最初の大規模な崩落が始まり、すでに崩落の始まりからでも20年以上が経過していることに。
橋に染みこんだ水が、冬季に凍結して膨張するためコンクリートの劣化が進行、毎年春先に1ヶ所〜2ヶ所ほどの崩落が見つかっています。
令和5年の3ヶ所崩落は、これまでにないことでしたが令和6年は6月30日に橋の一部(5個目と6個目のアーチの上部)が崩落しているのを地元のガイドが確認という過去にない「6月の崩落」という新たな局面を迎えています。
これまでは地震やダム湖の凍結が原因での崩落と推測できましたが、「6月の崩落」は、老朽化による可能性ともいわれ、いよいよかと、地元関係者はさらに一層の危機感を抱いています。
「北海道遺産」にも認定されるタウシュベツ川橋梁ですが、橋は糠平ダムを管理するJ-POWER(電源開発)の管轄ですが、「自然物」ということで管理は行なっておらず、地元の上士幌町も保存活動を行なう予定はないとのこと。
コンクリート構造物の安全性を高める調査などを行なう北海道CON保全協会が、水酸化カルシウムを補って老朽化を食い止めるなどの対応策を検討していますが、果たして・・・。
「崩落前に見ておこう」という観光客で「ひがし大雪自然ガイドセンター」のツアーも予約がかなり先まで埋まっています。
人気の廃線跡、タウシュベツ川橋梁が崩壊の危機に! | |
名称 | タウシュベツ川橋梁/たうしゅべつがわきょうりょう |
所在地 | 北海道河東郡上士幌町糠平 |
関連HP | ひがし大雪自然ガイドセンター公式ホームページ |
電車・バスで | 道東自動車道音更帯広ICから約61km |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |