波打つ丘(波状丘陵)で有名な北海道美瑛町。SNSでその美しい景観が海外にも知られ、訪日外国人観光客も数多く訪れるセブンスターの木と、その近くにあるシラカバ並木ですが、オーバーツーリズムの問題などから白樺並木を保有する地権者が、伐採を決意。2025年1月中にも伐採される見込みになっています。
2025年1月中にも伐採される見込み
美瑛の波状丘陵は、周氷河期時代(氷河期の周辺の時代)に氷が溶けたり凍結したりを繰り返して、侵食されて誕生したうねうねと波打つ丘陵地帯。
丘の上にポツンと立つセブンスターの木は、1976年、『セブンスター』(観光たばこ)のパッケージにしたことから有名になり、その周辺の「パッチワークの路」とともに美瑛の観光名所になってきました。
セブンスターの木近くの白樺並木も人気スポットになったため、近年、「パッチワークの路」で写真を撮る観光客が車道を塞ぎ、観光客だけでなく、農業車両、地元住民の通行の妨げになる問題も生じていました。
さらに、観光客が無断で畑に立ち入るなど、地元住民の生活に悪影響を及ぼす「オーバーツーリズム」が問題化していました。
地権者によると防風林の役割を担った白樺並木が成長して畑に日陰をつくり、農作物の減収につながっていることもあって、美瑛町役場と相談の上、伐採を決めたのです。
美瑛町では景観審議委員に意見を聞きましたが、
「観光客や町内の写真家目線では伐採は残念なこととして受け止められると思われるが、営農に支障がある等の理由は十分に理解できるため、伐採の代替として考えられる方法が無いのであれば、伐採はやむを得ないと考える」
「観光客、写真家の目線からすると白樺並木の伐採はとても残念なことであります。しかし、 地権者の土地に植えられている木のため、景観審議会で審議しても結果が変わるものではないので、伐採されるのは受け入れる必要があります」
など、伐採やむを得ずという意見のみで、反対する意見はありませんでした。
実は、有名な「哲学の木」もこの観光客問題で2016年2月24日伐採された経緯があり、美瑛の「重要景観樹木」に関しては、このオーバーツーリズム問題を常に抱えてきました。
観光バスで押し寄せる訪日外国人観光客への抜本対策などを講じなければ、今後、さらに消えゆく景観という事態が生じる危険性があり、「丘のまち」をPRする美瑛町にとっては悩ましい問題となっています。
オーバーツーリズム問題で、美瑛で人気の白樺並木が伐採へ! | |
所在地 | 北海道上川郡美瑛町北瑛 |
電車・バスで | JR美瑛駅からタクシーで15分 |
ドライブで | 旭川空港から約8.8km |
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