毎年厳寒の1月中旬、根室半島の付け根、別海町と根室市にまたがる風蓮湖で、氷下待網漁が始まります。風蓮湖は周囲96km、オホーツク海につながり、ヤウシュベツ川や風蓮川などの水が流れ込む汽水湖。凍結した風蓮湖に穴を開け、網をくぐらせて一網打尽にするという根室ならではの氷下待網漁を見学しました。
結氷した風蓮湖の魚を網で捕獲するのが氷下待網漁
根室では、「こおりしたまちあみりょう」と呼んでいますが、厚岸など釧路管内では、「ひょうかたいもうりょう」と称しています。
いずれにしても氷の下に網を入れて小魚を捕るのが氷下待網漁。
風蓮湖には、厳冬期、イサダ(オキアミの仲間)などの餌を求めて、氷下魚と書くコマイ(タラ目タラ科)、その名の通りキュウリに似た匂いのするキュウリウオ(北海道では「キュウリ」の愛称で呼ばれています)、ワカサギ(キュウリウオ目キュウリウオ科)、チカ(キュウリウオ目キュウリウオ科)、ニシン(ニシン目ニシン科)などの魚がやってきます。
厚さ10cm〜30cmほどに凍った氷をチェーンソーで長方形に切って穴を開け、事前に仕掛けた網(長さ20mを超える網)を引き上げます。
ニシンは、低い塩分の汽水域を持つ湖を好み、風蓮湖の湖底に茂るアマモはニシンの産卵場所になっているのです。
あまり知られていませんが、実は風蓮湖産ニシンは、湖沼性ニシンの中では日本でも有数の資源量を誇っているのです風蓮湖畔の走古丹(はしりこたん)のニシン種苗生産センターでは、人工ふ化も行なわれ、養殖漁業へのチャレンジも続けられています。
漁の最中に、空を舞うのはオジロワシ、オオワシ。
漁でのおこぼれをもらうために、漁師の上空を旋回するのです。
今回の取材に協力いただいたのは、根室湾中部漁協青年部所属の漁師・小向純一さん。
グリーンシーズンには、休漁時期に合わせて、風連湖・春国岱と温根沼を遊覧するボートクルーズを実施しているのだとか。
「氷下待網漁もそうなんですが、もっと、風蓮湖の素晴らしさを知ってもらいたい」
ということから、一念発起して始めたのがボートクルーズなんだとか。
ボートクルーズに関しての詳細はNorth Cruiseホームページで。
取材協力/根室振興局、漁師・小向純一さん、羅臼の宿まるみ