北海道のオホーツク海側(北見支庁)、北見市、佐呂間町、湧別町にまたがる湖面面積150平方キロという広大な湖がサロマ湖。琵琶湖、霞ヶ浦に次いで日本で3番目に大きな湖で、海水が流入する汽水湖としては、日本最大の湖です。長さ25kmにも及ぶ砂州でオホーツク海と隔てられる潟湖(海跡湖)で、砂州にはワッカ原生花園があります。
長大な砂州は原生花園に
長大な砂州でオホーツク海と隔てられていますが、昭和4年に湧別町側の第一湖口が、昭和54年に常呂町(現・北見市)側の第二湖口が開かれて、漁船が外海と出入りできるようになっています。
第二湖口には橋があり、ワッカ原生花園側から徒歩またはサイクリングで到達できますが、第一湖口には橋がないため、南北で砂州は分断されています。
北側の湧別町側の先端近くの登栄床までは北海道道656号(湧別停車場サロマ湖線)が通じており、先端にはサロマ湖口灯台が建っています。
また登栄床には龍宮台展望台、オートキャンプが可能な三里浜キャンプ場も整備されています。
常呂側の砂州は北海道遺産にもなっているサロマ湖ワッカ原生花園。
北海道では屈指の原生花園で、「サロマ湖ワッカネイチャーセンター」の駐車場に車を入れて、砂州周辺の原生花園を探勝する仕組みです。
汽水湖となったサロマ湖は、漁業資源も豊富で、ホタテ、カキの養殖、ホッカイシマエビ漁などが行なわれています。
豊かな漁業資源のため、湖周辺は、続縄文時代(米作ができなかった北海道には弥生時代がないため、縄文時代に続く時代を続縄文時代としています)、オホーツク文化(海洋狩猟民族)時代の竪穴式住居跡などが残されています。
馬の放牧地があるキムアネップ岬には、アッケシソウ群落(サンゴ草群落)もあり、初秋には湖岸が赤く染まります(計呂地、鶴沼など湖畔の各地に群落があります)。
かつて湖畔には国鉄湧網線が走っていましたが(昭和62年廃止)、廃線跡はサイクリング道(北海道道1087号網走常呂自転車道線)などに転用され、中湧別駅跡、計呂地駅跡、佐呂間駅跡、卯原内駅跡には車両が静態保存されています。
夕日の美しい湖としても知られ、とくに「サロマ湖鶴雅リゾート」のある栄浦は、夕日の名所になっています。
サロマ湖の湖畔には国道239号沿いのピラオロ展望台、幌岩パーキングなどの展望スポットが用意されていますが、湖を一望にする場合は、幌岩山山頂のサロマ湖展望台へ。
車の場合は、未舗装の幌岩山林道・浪速林道で到達できますが、対向車とヒグマに注意が必要。
長大な砂州は、大町桂月命名の竜宮街道
昭和4年、昭和54年の湖口掘削以前は、長大な砂州部分が国道で、大正10年9月4日、大雪山登山後に砂州を歩いた文豪・大町桂月(層雲峡などの名付け親です)は、「奇花異草接天空 馬跡輪痕川字通 百里狭洲波浪裡 恍然疑是到龍宮」(ここにには珍しい草花があり、天空に接しているようだ。馬車の通った跡は、川の字のように砂に残っている。長く狭い洲は、波浪のなかにある。この景観を眺めていると心を奪われてうっとりとなり、この道は龍宮へ続く道かと疑うほどだ。)としています。
そして天の橋立とその景観を比較し、「余は茲に竜宮街道と命名す」(『 北海道山水の大観 8猿間湖 』)と竜宮街道(龍宮街道)と命名。
この時、大町桂月は、網走から馬でサロマ湖にやってきています。
卯原内(うばらない)の駅逓(えきてい)で食事をし、夕方常呂に到着し、駅逓で宿泊。
常呂から船で、ワッカにある元駅逓に上陸。
鐺沸で休憩後、夜になって下湧別に到着しています。
つまり、この長大な砂州(大町桂月は「9倍の天橋立と言っても相通じる」と記しています)を踏破しているのです。
サロマ湖 | |
名称 | サロマ湖/さろまこ |
所在地 | 北海道北見市常呂町・常呂郡佐呂間町・紋別郡湧別町 |
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