昭和45年10月14日に始まったディスカバー・ジャパン(DISCOVER JAPAN)キャンペーン、北海道旅行もブームとなりましたが、注目を集めたのが広尾線(帯広駅〜広尾駅/昭和62年2月2日廃止)。愛の国から幸福へ!ということで愛国駅で販売の幸福駅行ききっぷがブームとなったのです。
「幸福駅ブーム」の地は交通公園として健在!
昭和48年3月に放送されたNHK『新日本紀行』で、『幸福への旅~帯広~』が放送され、幸福駅の名前は一躍全国区に。
当時の北海道は国鉄の「北海道ワイド周遊券」を利用し、リュックを背負って全道を鉄道とバスで周る「カニ族」がブームを呼んでいました。
このカニ族がまず注目したのが、幸福駅。
愛国駅から幸福駅行きのきっぷが「愛の国から幸福へ」のキャッチフレーズとともに一大ブームになりました。
東京でアイデア雑貨の製造販売をする飛田和義行(ひだわよしゆき)さんが、このきっぷの販売の仕掛け人で、前年に7枚しか売れなかった「愛国〜幸福」間の乗車券が、昭和48年にはなんと300万枚に。
以降4年間で1000万枚を超える「幸福駅ブーム」を巻き起こしたのです。
当時のカニ族は、帯広駅から広尾駅まで広尾線を利用(愛国駅、幸福駅で途中下車)。
広尾駅から国鉄バス日勝線で襟裳岬、そして様似駅で日高本線に乗り継いで、北海道を周遊していました(すべて「北海道ワイド周遊券」で乗り降り自由)。
旅先ではまだ見たことのない缶詰や缶ジュースが売られ、ワクワク・ドキドキの旅が楽しめましたが、そんななかでも「愛の国から幸福へ」は、強いメッセージ性があり、多くの「北海道ワイド周遊券」利用者が詰めかけました。
その後、北海道旅行は、バイクやレンタカーに代わり、広尾線も昭和62年2月2日に廃止となりましたが、幸福駅は、「古くて新しい」をコンセプトに平成25年11月、幸福交通公園(国鉄キハ20系気動車キハ22-221、キハ22-238を静態保存)に生まれ変わり、年間20万人以上の観光客が訪れる帯広市を代表する観光スポットになっているのです。
幸福駅のプラットホームには帯広~広尾間を走り抜けたオレンジ色のキハ22形も静態保存され、かつてのカニ族には思い出深い旅先になっています。
愛国駅も交通記念館として再生され、当時使用していたきっぷ、パネルを展示するほか、SL(9600形19671)を静態保存しています(12月〜3月はSLの見学ができません)。
「幸福行き」きっぷを型どったモニュメントもあり、絶好の撮影スポットになっています。
「愛国から幸福行き」きっぷは、幸福駅前、愛国駅前の売店で販売されています。
愛の国から幸福へ! | |
所在地 | 北海道帯広市愛国町基線39-40〜幸福町東1線 |
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