北海道千歳市を走る国道337号沿いにある縄文時代後期の遺跡で国指定の史跡、キウス周堤墓群。地面を丸く削り、掘った土を周囲に土手状に積み上げてサークル状の堤を形成、内側を墓地にしているのが周堤墓。世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産のひとつで、構成遺産では、最北の遺跡です。
日本最大! 縄文人の墓はドーナツの土塁に囲まれる
周堤墓(しゅうていぼ)とは、縄文時代後期(3200年前頃)に造られた墓で、北海道だけに見られる独特のスタイル。
地面を遠景に掘り下げ、掘った土を周りに積み上げて土手(周堤)を築き、すり鉢状に凹んだ墓を造成したもの。
巨大な土のドーナツが地面に横たわった感じで、全部で8基が判明。
一番大きなものは直径が75m、確認されている縄文時代の墓としては日本最大級です。
食料となるサケ・マス類が遡上し捕獲できる川が近くを流れ、一帯には落葉広葉樹の森が広がっていました。
最大の第2号周堤墓を築くには、推定で最大5900立方メートルの土が必要で、仮に縄文人15人で造成してもまるまる2年を費やす計算となるとか。
周堤墓には出入口と考えられる周堤の切れ目があり、決まった道を通って周堤墓に出入りしていたと推測されています。
周堤墓内の土坑墓(どこうぼ)には赤色の顔料(紅殻=ベンガラ)が撒かれているものが多く、また、墓標と思われる立石が埋められたものも見つかっています。
残念ながら巨大な第4号墓、第2号墓は国道で分断。
2号墓の南側(千歳寄り)には駐車場も整備されているので、ここを起点に探勝を。
ただし国道は通行量が多いので見学にあたっては国道の横断に注意を。
「千歳市埋蔵文化財センター展示室」をあわせて見学を
出土した土器や木製品は「北海道立埋蔵文化財センター」で保存展示されているほか、世界遺産のガイダンス施設となる「千歳市埋蔵文化財センター展示室」にも第4号墓で発見された墓標と見られる長さ62cmの石柱などの展示解説があります。
埋葬者の墓は円形、もしくは楕円形で、深さはすべて60cm。
その形状から足を折り曲げた屈葬(くっそう)で埋葬されていたと推測されています。
土壌の影響で、遺体は見つかっておらず、副葬された遺物も少ないのが特長です。
2号墓は8個の石で囲まれ、底には赤い紅殻(鉄のサビ)が敷き詰められていました。
またキウス一帯の遺跡からは竪穴住居跡、貯蔵穴跡、土偶なども発見されており、この一帯が縄文人の里だったことが判明しています。
キウス周堤墓群の発掘調査は進んでおらず、周辺に何基の周堤墓があるのかも定かでありません。
北東北や道内各地に残る環状列石との関係など、今後の解明に期待が大きくふくらみます。
ちなみにキウスという地名は、アイヌ語のキ・ウス(ki-us=カヤ・多くある)、もしくはキ・ウス(ki-us-i=カヤ・多くある・ところ)の意。
キウス周堤墓群 | |
名称 | キウス周堤墓群/きうすしゅうていぼぐん |
所在地 | 北海道千歳市中央410-2 |
関連HP | 千歳市公式ホームページ |
ドライブで | 道東自動車道千歳東ICから約700m |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 千歳市埋蔵文化財センター TEL:0123-24-4210 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |