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襟裳岬

襟裳岬

北海道幌泉郡えりも町、標高2052mの幌尻岳を中心に、南北に連なる日高山脈が太平洋に落ち込んだ岬が襟裳岬(えりもみさき)です。60mの断崖上に建つ襟裳岬灯台から、馬の背状の尾根が続き、さらに沖合約7kmまで、岩礁がのびています。岬には、強風が体感できるユニークな施設、襟裳岬風の館が建っています。

日本最大のゼニガタアザラシの生息地

襟裳岬の沖合は、津軽暖流と千島海流のぶつかり合うところ。
そして、風速10m/sの風が吹く日が年間260日を超える、わが国有数の強風地域。
潮の流れが速く、気象の変化も激しい場所で、アイヌの聖地的な存在でした。
アイヌの精神的・聖地的に重要な場所であるとして、北見神威岬( カムイエトゥ)、遠軽の瞰望岩( インカルシ)、豊浦町のカムイチャシ、帯広市と中札内町の境にある十勝幌尻岳(ポロシリ)などとともに国指定の名勝ピリカ・ノカ(アイヌ語で「美しい・形」を意味)に指定されています。

えりも町の以前の町名は、幌泉町(昭和45年10月1日えりも町と改称)。
アイヌ語のポロ・エンルム(poro-enrum=大きい ・岬)あるいはポン・エンルム(pon-enrum=小さい岬)の転訛だと推測できます(『エリモ町史』、山田秀三『アイヌ語地名の研究』など)。
襟裳岬にネズミが多いので、erum(エルム)と考える説もあります。
幕末の探検家・松浦武四郎の『戌午東西蝦夷山川地理取調日誌』にはエリモサキ、ヲン子(ネ)エンルン、遠くから襟裳岬を望むとネズミが伏せた様に突き出ていることに由来と記しています。
オンネ・エンルムだとすればonne-enrum=大きい・岬、あるいは松浦武四郎のonne-erum=大きい・ネズミ)ということに。

沖合の岩礁には、ゼニガタアザラシ約300頭も生息し、運が良ければ展望台から双眼鏡で視認することが可能(シーカヤックで行く「えりも岬あざらしウォッチングツアー」も実施されています)。

襟裳の春は何もない春!?

襟裳岬突端の断崖上に建つ襟裳岬灯台は、明治22年6月25日に初点灯。
現在の灯台は第二次世界大戦時の爆撃で破壊され、昭和25年に再建された2代目で、「日本の灯台50選」にも選定されています。

灯台や沖に伸びる岩礁地帯を眺める展望台の横には昭和46に町名変更の記念で建立された島倉千代子の『襟裳岬』歌碑と、平成9年に「風の館」が建設で建てられた森進一『襟裳岬』歌碑が立っています。
森進一が歌った『襟裳岬』は、作詞が岡本おさみ、作曲は吉田拓郎というフォーク全盛期を代表する名コンビの作品で、発売された昭和49年の第16回日本レコード大賞と、第5回日本歌謡大賞の大賞をダブル受賞。
ところが、サビに登場する「襟裳の春は何もない春です」に地元えりも町民は「何もないとはけしからん」と大反発、大ヒットして後にえりも町から森に感謝状が贈られ、歌碑が建立されたのです(実際には襟裳岬を訪れた作詞家・岡本おさみが「何もないですがお茶でもいかがですか?」という襟裳でも温かいもてなしに感動して取り入れられた実話的な歌詞だったのです)。

襟裳岬周辺の海岸では貝殻が蝶々(チョウチョウ)の形をした、「蝶々貝」を拾うことができます。正式名はオオバンヒザラガイで日高では「ムイ」と呼ばれています。
襟裳岬灯台下の旅館「みさき荘」など、襟裳岬周辺で宿を取ったなら確認を。

あまり知られていませんが、襟裳岬の南東方向185kmの海中には、襟裳海山と呼ばれる標高4200mもの海中の山があります。
ただし、日本海溝の最北端の深い海底のため山頂でも海面下3735mの深海になります。

襟裳岬〜百人浜の緑化事業

襟裳岬は、白砂青松100選にも選定されていますが、これは襟裳岬・百人浜一帯の緑化事業で生まれた緑のこと。
襟裳岬はかつて、カシワ、ミズナラ、シラカバなどの広葉樹の原生林で覆われていました。
しかし、明治以降、燃料としての木々の伐採や、牛・馬・綿羊の放牧などによって、原生林が失われ、岬特有の強風で草地と砂浜・砂丘に変化し、強風によって赤土が舞い上がるようになったのです。
岬の森は魚つき林としても機能するので、漁業資源の保護にも問題がありました。
そこで、昭和28年、浦河営林署「えりも治山事業所」が開設され、本格的な岬の緑化事業がスタート。
砂漠化した土を森に戻すことは困難を極めましたが、海岸に打ちあがっている雑海藻を砂丘に置き、その上に種を撒くという手法を生み出して、まずはなんとか草本緑化し、北海道には自生していないクロマツを植えることで、緑化に成功したのです。
「日本の白砂青松百選」に選定されているのはそのため。
襟裳岬から帯広寄りの百人浜にかけての道路脇のクロマツ林が植林地で、百人浜の展望搭から一望できます。

襟裳岬
名称 襟裳岬/えりもみさき
所在地 北海道幌泉郡えりも町えりも岬
関連HP えりも町公式ホームページ
電車・バスで 苫小牧駅、札幌からえりもまで高速バスを利用し、えりもからJR北海道バスで20分
ドライブで 日高自動車道日高門別ICから約129km。とかち帯広空港から約104km
駐車場 えりも岬駐車場(200台/無料)
問い合わせ えりも町産業振興課 TEL:01466-2-4626/FAX:01466-2-4633
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

襟裳岬歌碑

『襟裳岬』という題名の歌は、島倉千代子が歌ったヒット曲『襟裳岬』、そして「襟裳の春は何もない春です」で物議を醸した有名な森進一の『襟裳岬』と実は2曲あります。襟裳岬突端の断崖上には『襟裳岬』の歌碑が仲良く並んで立ち、同名異曲の歌碑が並ぶとい

襟裳岬灯台

日高山脈の末端、沖合へと岩礁が続く襟裳岬(えりも岬)の突端に建つ白亜の灯台。明治22年に初点灯しましたが、第二次世界大戦の爆撃で倒壊。現在の灯台は、昭和25年に再建された2代目で「日本の灯台50選」にも選定されています。4段となった海岸段丘

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北海道えりも町、風速10mを越す風が吹く日が、年間300日近くある、襟裳岬(えりもみさき)。その岬の突端に建つのが、風をテーマにした襟裳岬風の館です。岬の海食崖を活かし、要塞のように築かれた施設で、風のないにには強風を体験し、逆に風が強い日

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