国内の水族館で飼育されるラッコは、ピーク時には122匹がいたものの、今では「鳥羽水族館」の2匹だけ。そんな状況で、実は、北海道・道東、霧多布岬や根室半島では、野生のラッコが生息。とくに霧多布岬(きりたっぷみさき/北海道浜中町)のラッコは、定住、繁殖するファミリーで、観光客にも人気です。そのラッコたちに、危機が・・・。
鳥インフルエンザ罹患と、シャチの襲撃で大ダメージ
鳥羽水族館で飼育されるラッコは、ともにメスの20歳の「メイ」と16歳の「キラ」で、2匹に寿命(メスのラッコの寿命は20歳~25歳ほど)がきたなら、国内の水族館のラッコはゼロに。
個体数の減少と反比例して、SNSを中心にラッコの人気は高まっていますが、実は絶滅危惧種で、すでに禁輸(希少動物を保護するワシントン条約の対象)。
今後は、道東に生息するラッコの注目度も高まりそうですが、ここにきて、霧多布岬のラッコに危機が迫っています。
霧多布岬に生息するラッコのうち、1匹が2025年4月に死亡しましたが、原因を救命するために死体を解剖したところ、鳥インフルエンザが見つかったのです。
鳥インフルエンザに罹患した鳥を食したことで、ラッコも感冒したのだと推測されます。
さらに、それに追い打ちをかけるように、5月23日、親子2頭がシャチに襲われたのです。
親のラッコは、メスで、地元のNPOの話では、2018年から計8頭の子を産んだメス。
こうしたことを受け、傷ついたラッコの保護ができないのかと、検討もされましたが、かつて道東に多数生息した野生のラッコは毛皮などを目的に乱獲され、絶滅に追い込まれたという歴史があり、そうした反省から明治45年、「臘虎膃肭獣(らっこおっとせい)猟獲取締法」が制定されているのです。
実は、この法律は今も生きていて、「見守るしかない」(地元・浜中町)というのが現状。
根室半島の落石岬などでもラッコは生息していますが、地元の新聞記者の話では、「北方領土からやってきた渡りのラッコ」とのことで、今後、定住してくれればという感じなのだとか。
霧多布岬ではすでに定住、繁殖が進んでおり、国内でも希少な「岬から野生のラッコを視認できる地」。
つまりは今後、ますます注目度が高まるだけに、見学マナーの呼びかけなど、地元では環境整備にも力を入れています。
ただ、「野生のラッコでけに鳥インフルエンザの罹患、シャチの襲撃など、生態系に関しては見守るだけ」の状態。
霧多布岬のラッコファミリーにちょっとした危機が訪れているのです。
北海道・霧多布岬に生息する野生のラッコファミリーに危機が! | |
所在地 | 北海道厚岸郡浜中町湯沸 |
場所 | 霧多布岬 |
電車・バスで | JR浜中駅からくしろバス霧多布温泉行きで25分、終点下車、徒歩40分 |
ドライブで | たんちょう釧路空港から約102km |
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