北海道千歳市で、10月にピークを迎える千歳川の鮭の遡上。遡上する鮭を捕獲する装置がインディアン水車です。「道の駅サーモンパーク千歳」の「サケのふるさと 千歳水族館」横に設置されているので、鮭の遡上するシーズンには手軽に見学することができます。
日本的な呼び名は「捕魚車」で明治29年に設置
インディアン水車は、明治23年、北海道庁初代水産課長・伊藤一隆(いとうかずたか)がアメリカで実際に使われているFish Wheel(魚捕獲用の水車)を目にして、その設計図を入手。
伊藤一隆は札幌農学校でクラーク博士から直接学んだひとりで、札幌農学校を卒業後、開拓使御用掛となり、明治19年、北海道庁誕生と同時に水産課長に就任しています。
明治29年、千歳中央孵化場(明治21年設置)の初代場長・藤村信吉(札幌農学校の8期生)がFish Wheelを千歳川を遡上する鮭の捕獲に実際に用いることを考え、明治29年に設置されたのが始まりです。
当初の設置は現在地よりも2km上流の現・青葉公園下付近でしたが、その場所は天然産卵床に近接していたので、明治30年に現在の場所に移設しています。
ちなみに千歳中央孵化場の設置も、明治19年に渡米、メイン州バックスポートの孵化場を見学した伊藤一隆の発案で、湧水の湧き出す場所を選んで設置しています。
それ以前には、「千歳川ヲ横断シテ杭ヲ建テ、網ヲ下シ溯上ノ鮭魚ヲ捕獲」という方法をとっていましたが、効率がいいことからこの「捕魚車」(日本的な呼び名)を採用しました。
インディアンが使っていたのではありませんが、いつしかインディアン水車が一般的な呼び名になっていったのです。
インディアン水車の名前は昭和40年代に定着
インディアン水車の名が定着したのは昭和40年代なので、少し観光的な配慮もあったのかもしれません。
過去にはた千歳川の環境変化(水位低下)と鮭鱒の遡上数の減少から昭和41年、昭和42年には設置されていませんが、それ以外の年は、明治29年からずっと、インディアン水車が設置されてきました。
ちなみにこのインディアン水車、鮭鱒の増殖事業に用いる鮭の親魚を捕獲するためのもの。
つまりはイクラを採取し、稚魚を育てて放流するための施設ということになります。
孵化した稚魚は翌春、 千歳川に放流され3年~5年で千歳川に戻ってきます。
石狩川河口から66km上流に位置し、さらに上流10kmの湧水の多い場所に水産資源研究所千歳さけます事業所がありますが、併設の「千歳さけますの森さけます情報館」を見学するとさらにインディアン水車の活躍ぶりが理解できることでしょう。
インディアン水車のある「道の駅サーモンパーク千歳」は千歳市街地に、「千歳さけますの森さけます情報館」は千歳市街地から支笏湖に向かう途中にあるので、秋に新千歳空港でレンタカーを借りる、あるいは返すなら、ぜひ寄り道を。
インディアン水車は例年例年8月下旬〜12月中旬まで設置され、鮭の遡上は9月〜10月がピークです。
鮭を捕獲するスゴ技! インディアン水車とは!? | |
名称 | インディアン水車/いんでぃあんすいしゃ |
所在地 | 北海道千歳市花園2-312 |
関連HP | サケのふるさと 千歳水族館公式ホームページ |
電車・バスで | JR千歳駅から徒歩13分 |
ドライブで | 道央自動車道千歳ICから約5km |
駐車場 | 道の駅サーモンパーク千歳駐車場(200台/無料) |
問い合わせ | サケのふるさと 千歳水族館 TEL:0123-42-3001/FAX:0123-42-2310 |
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