多くのダムマニアから「日本一ダムに見えないダム」といわれるのが、北海道沙流郡平取町、一級河川・沙流川(さるがわ)本流を堰き止めた二風谷ダム(にぶたにだむ)。もともと二風谷はアイヌ文化が伝承される重要な土地で、「アイヌ文化の聖地」。そのためダム建設には反対運動も起こりました。
アイヌ文化の聖地に築かれた多目的ダム
二風谷のダム建設の反対運動は、単なる水没地の保証という問題ではなく、政府や国民全体のアイヌ文化への関心、その保護政策といった面を掘り起こすという結果に。
政府も先住のアイヌを土人として扱う北海道旧土人保護法を廃止し、アイヌ文化保護を目的としたアイヌ文化振興法が成立、ダム建設の保証として、アイヌ文化を保護伝承する「二風谷アイヌ文化博物館」が開館しています。
二風谷ダムの目的は治水だけでなく、灌漑、上水道や工業用水の確保(ダム建設時には苫小牧東部工業基地をつくる計画がありました)、そして発電という多目的ダム。
自然豊かな日高山脈を流れる沙流川は、サケを始めサクラマス、カラフトマス、シシャモの遡上する河川であることから、その遡上を妨げることのない魚道の確保なども、ダム建設にとってクリアしなければいけない重要なポイントでした。
二風谷ダムは、堤高32m、堤頂長550mと、非常に横長の構造。
ダム湖の水位変動に合わせてゲート(水路)が上下に動くという特殊構造の階段式魚道が、右岸(上流から見て)側に設置されています(遡上降下するサクラマスは増加傾向にあることが確認されています)。
そんな二風谷ダムのデザインは、周辺に競走馬の牧場があることを意識してなのか、少し厩舎を思わせる雰囲気に。
モスグリーンの屋根の建物が川の上にズラリと並んでいる感じで、パッと見にはダムとは思えない雰囲気です。
「日本一ダムに見えないダム」が北海道に! | |
所在地 | 北海道沙流郡平取町二風谷2 |
場所 | 二風谷ダム |
ドライブで | 千歳空港から約67km |
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