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「北海道最小の有人島」、実は北海道ツウでもまず知らない島

小島

北海道の有人島といえば、利尻島、礼文島、奥尻島、天売島、焼尻島などが有名ですが、「北海道最小の有人島」は道東・厚岸町(あっけしちょう)の沖にある小島。小島というと道南・松前町の渡島小島(おしまこじま)がありますが、こちらは無人島。厚岸の小島は、北海道ツウでもまず知らない有人島となっています。

昭和50年までは小中学校もあった!

厚岸町のあやめの名所、あやめが原にあるチンベノ鼻展望台、そしてピリカウタ展望台。
その沖合に海鳥のコローニーでも有名な大黒島があり、この大黒島は無人島ながら、北海道ツウなら知っている人も多い島です。

大黒島海鳥繁殖地として天然記念物に指定され、島内にはアイヌのチャシ(砦)跡もあり、明治以降平成12年までは定住者もいましたが、現在は無人島になっています。
この大黒島は、周囲が断崖で、面積も1.08平方キロ、標高105mと存在感もあるので、記憶に残る島になっているのです。

実は、あやめが原・チンベノ鼻と大黒島の間にあるのが、注目の小島(厚岸小島とも)。
面積0.05平方キロ、周囲900mのまさに小島で、令和2年の国勢調査では、4世帯6人とされているので、有人島のひとつ。
ただし、冬場は昆布漁ができないので、人が暮らしているのは昆布漁の季節だけということに。

アイヌ語でもポンモシリ(pon-mosir=小さな島)。
南東部には海食崖が発達していますが、かつてはここに山があったものが、崩落して崖になったのだとか。

夏場は、道東の太平洋岸特有の海霧に覆われることが多く、内陸が晴れて温度が上がっても、千島海流の影響で海水温が低いため霧に包まれることが多く、神秘的。

幕末の安政5年(1858年)に厚岸を探訪した探検家・松浦武四郎の『戊午日誌』」(東部能都之也布誌)には、「ホンモシリ 従アイカツフ(愛冠岬)より凡廿丁、周囲十丁の丸き島なり。ホンモシリとは小島と云儀。上に赤楊(ハンノキ)多し」と記されていますが、現在はハンノキは見当たりません。

小島への和人の入植は、明治2年のこと。
林佐十郎ら3名が漁場を得て、対岸の床潭(とこたん)に土着しましたが、当時は小島にはアイヌが暮らし、昆布漁を営んでいました。
ニシン漁最盛期の明治時代後半には40世帯以上が小島で暮らしたという記録もあり、明治37年9月には床潭簡易教育所付属小島特別教授場が開設され(後の小島小学校)、15人の生徒が入学しています。

戦時中には海軍の基地ができたことで、電話線が敷設され、島に電気が灯り、テレビが入ったのは昭和38年。
昭和47年には海底水道管も開通し、井戸生活に別れを告げています。

人口の減少も進み、小島小学校、小島中学校(昭和25年設置)は、昭和50年に閉校。
当然定期航路はないので、上陸したい場合は厚岸漁港で船をチャーターするしかありません。

あやめが原から眺めた小島、大黒島
ピリカウタ展望台の眺め、手前が小島、奥が大黒島
「北海道最小の有人島」、実は北海道ツウでもまず知らない島
所在地 北海道厚岸郡厚岸町小島
場所 小島
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

あやめが原

道道123号(太平洋シーサイドライン)沿い、ダケカンバの林を抜けた、チンベノ鼻と呼ばれる台地状の岬。この岬付近一帯100haに広がる、30万株の群落があやめが原。アヤメはヒオウギアヤメで、開花期は年により異なりますが、6月中旬〜7月上旬ぐら

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