悲別ロマン座

悲別ロマン座

昭和59年3月9日から日本テレビ系列で全13話が放送された倉本聰脚本のテレビドラマ『昨日、悲別で』。物語の主要な舞台のひとつが、北海道・上砂川町がモデルの架空の町・悲別町。北海道・歌志内市にある悲別ロマン座は、ドラマの舞台にもなった架空の建物で、正式名称は旧「上歌砿会館」(かみうたこうかいかん)です。

『昨日、悲別で』の舞台が、今も個人の熱意によって保存公開されている!

悲別ロマン座

建物は昭和28年築の住友上歌志内砿の炭鉱住宅が建ち並んだ上歌地区にあった職員厚生施設(映画館)。
当時、歌志内には錦座、大正座、神威松竹座、神威砿会館、親友会館と5軒もの劇場があり、6軒目として建設されたもの。
採炭時代には映画の上映はもちろん、歌謡ショーや演劇なども上演されていました。

『昨日、悲別で』では、このドラマがデビュー作となる雨宮良演じる主人公・中込竜一(夢を追いかけ悲別高校卒業後すぐに東京に出て働きながらタップダンスを学びます)が悲別ロマン座で公演(タップダンスを披露)というシーンがあります。
実際には、ロケ時にもとても内部には足を踏み入れることができない状態だったため、外観のみの撮影となっています。

昭和46年に廃鉱になってから、旧上歌会館は活用されずに廃墟への道を歩んでいましたが、『昨日、悲別で』のドラマ中で「悲別ロマン座」として使われたことから、歌志内市と「悲別ロマン座保存会」・藤田哲雄さんらの熱意によって8年の歳月をかけて平成20年に復元。
現在も藤田哲雄さん館長としてが管理保全を図り、グリーンシーズンのみ公開されています。

『昨日、悲別で』(昭和59年)のロケに使われる以前にも、昭和52年公開の『幸福の黄色いハンカチ』(監督:山田洋次、主演:高倉健、倍賞千恵子/第1回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、優秀主演男優賞、最優秀助演男優賞=武田鉄矢、最優秀助演女優賞=桃井かおり)のロケ地にもなっています。
島勇作(高倉健)、花田欽也(武田鉄矢)、朱美(桃井かおり)の3人がマツダのファミリア(4代目のFRファミリア)で釧路港から釧路湿原、網走、美幌峠、阿寒湖、足寄、帯広、狩勝峠、富良野、芦別、赤平、歌志内(上歌砿会館)、上砂川、長沼、夕張と走り抜けるロードムービーです。
「統一劇場」の人々が『銀座カンカン娘』を歌っている側を通り、勇作(高倉健)が空を見上げると鯉のぼりがはためいているという印象的なシーンに登場します。
その直後、勇作がふたりに「もし、まだ1人暮らしで俺を待っててくれるなら、鯉のぼりの竿に黄色いハンカチをぶら下げておいてくれ。それが目印だ。もしそれが下がってなかったら、俺はそのまま引き返して、二度と夕張には現れない」という葉書のことを告白する重要なシーンです。

「悲別ロマン座」近くには歌志内を代表する炭鉱遺産「住友上歌志内砿第一立坑櫓」(住友赤平炭砿排気立坑)が現存しているので、あわせて見学を。

ちなみに『昨日、悲別で』のエンディングテーマはかぐや姫バージョンの『22才の別れ』(作詞・作曲:伊勢正三)ですが、『昨日、悲別で』の放送時にシングルカットされています。
そのジャケット表面には、雪が降り積もる「悲別ロマン座」の風景画となっていて、かぐや姫ファンにも「悲別ロマン座」は思い出の地になっているのです。

 

悲別ロマン座
名称 悲別ロマン座/かなしべつろまんざ
所在地 北海道歌志内市上歌1-1
関連HP 悲別ロマン座公式ホームページ
ドライブで 道央自動車道奈井江砂川ICから約18km
駐車場 20台/無料
問い合わせ 悲別ロマン座 TEL:090-5408-3952
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
旧上砂川駅(悲別駅)

旧上砂川駅(悲別駅)

2018.08.07

悲別ロマン座

ABOUTこの記事をかいた人

アバター画像

日本全国を駆け巡るプレスマンユニオン編集部。I did it,and you can tooを合い言葉に、皆さんの代表として取材。ユーザー代表の気持ちと、記者目線での取材成果を、記事中にたっぷりと活かしています。取材先でプレスマンユニオン取材班を見かけたら、ぜひ声をかけてください!