松前城跡

松前から上ノ国にかけては、北海道では最初に和人が定住した場所で、松前という地名はアイヌ語の「マツ・オマ・イ」(婦人・居る・ところ=永田地名解)に由来。つまり、先住民であるアイヌが住む地に、和人の女性が共存したという珍しい状況を表しています。松前城は福山城とも呼ばれた、北海道で唯一の和式城郭。「日本100名城」、「北海道遺産」にも選定。

幕末に北方警備を目的に天守を築造


本丸御門(国の重文)と再建天守

中世には現在の上ノ国町の夷王山(いおうざん)に山城がありましたが津軽に近いという理由などから、福山(現在の松前城)に移り、1600(慶長5)年〜1606(慶長11)年にかけて陣屋を築いたのが始まりです。

1854(安政元)年、ロシアの南進などもあって、北方警備を目的に、幕府の命により松前藩12代藩主・松前崇広((まつまえたかひろ))が近世的な城郭である松前城を完成させています。
設計は三大兵学者の一人といわれた市川一学(いちかわいちがく)。
完成した新城は面積約7万7800平方メートルで、本丸、二の丸、三の丸に楼櫓6、城門16、砲台7座を備えていました。
三の丸には海に向けて7基の砲台が置かれ、さらに城外にも9砲台25門の大砲を配備したことからも、艦砲射撃への備えを重視していたことが分かります。
築城に要した15万両は藩財政にとって大きな負担となり、財政悪化を招いています。

この時に初めて本丸東南隅に三重三階の天守(三重御櫓)を上げ、1854年(安政元年)に竣工。
福山城という名から、松前城に改めています。
海側からのロシア艦隊の艦砲射撃に備えて砲台を備えるという堅牢な警備を備えていました。

城下町、寺町なども整備しています現存するのは本丸御門と寺町の一部のみ。
1868(明治元)年、新政府軍についた松前藩は土方歳三(ひじかたとしぞう)率いるわずか700名の旧幕府軍の攻撃で城も落ち、城下に火を放って敗走しています。

松前城が簡単に落城したワケは!?
700名という勢力に数時間で落城したのにはワケがあります。
松前城はロシアの南進を想定していたため、海側の防御に重きを置き、東の搦手側(からめてがわ)の防御は手薄でした。
つまり、太平の世にあって、内乱としての防備に重きをおいていなかったのです。
そこを上手く突いたのが土方歳三で、艦砲射撃とともに城の東に位置する法華寺から大砲で城を砲撃しています。

しかも松前城は海からの攻撃も直撃される位置に。
実は城を縄張り(設計)した市川一学は、海防上から福山(松前)は無理で、箱館(函館)後方の桔梗野にある庄司山付近に築城するよう上申したのですが、居を変えることに藩士の反対にあって福山(松前)に築城したのです。

本丸御門が現存し、搦手二ノ門、天神坂門が再建

搦手二ノ門

天神坂門

明治8年、天守など本丸の施設を除くほとんどの建築物が破却。
このとき、松前城の石垣を再利用して松前波止場と呼ばれる岸壁が整備されていますが、この岸壁は今も現存し、「松前港福山波止場」として土木学会選奨土木遺産に認定されています。

戦前の国宝だった天守は、昭和24年の役場の失火で焼失。

現在の天守閣は昭和36年に再建されたもので、内部は松前城資料館となっています。
2階に展示されている『松前屏風』は、全盛期の松前の様子を描いたもので、北海道指定有形文化財。
3階の展望台からは、津軽海峡を一望に。

現存する本丸御門は、国の重要文化財。
場内に保存される本丸表御殿玄関(表御殿の玄関部分のみ)は、北海道の有形文化財。

東側から城内へ通じる搦手口(裏門側)には搦手二ノ門(からめてにのもん)が復元されています。
慶応3年に撮影された古写真から門の高さと形態を解析し、高麗門を青森産のヒバ材と燻し瓦、銅板の筋金物を用いて復元。

かつて城内へ通じる坂は馬出口、天神坂、馬坂、湯殿沢口、新坂の5ヶ所でしたがそのうちのひとつ天神坂門も復元されています。

また松前は桜の名所としても名高く、周辺の松前公園では、春には250種1万本もの桜が咲き誇り、「日本さくら名所100選」に選定。
「福山(松前)城と寺町」として北海道遺産にも登録。

重要文化財本丸御門

本丸表御殿玄関

松前城跡 DATA

名称 松前城跡/まつまえじょうあと
所在地 北海道松前郡松前町松城
関連HP http://www.asobube.com/
電車・バスで JR木古内駅から函館バス松前バスターミナル行きで1時間29分、松城下車、徒歩5分
ドライブで 函館空港から約106km
駐車場 50台/無料(さくらまつり期間は有料)
問い合わせ 松前城・松前城資料館TEL:0139-42-2216

 

旧松前城本丸表御殿玄関

2017.04.29

松前城本丸御門

2017.04.29

松前公園

2017.04.29

人気記事

ABOUTこの記事をかいた人

プレスマンユニオン編集部

日本全国を駆け巡るプレスマンユニオン編集部。I did it,and you can tooを合い言葉に、皆さんの代表として取材。ユーザー代表の気持ちと、記者目線での取材成果を、記事中にたっぷりと活かしています。取材先でプレスマンユニオン取材班を見かけたら、ぜひ声をかけてください!