【知床・羅臼発】世界遺産を120%楽しむのなら知床の海に注目

知床の楽しみ方でもっとも重要な点は、世界遺産登録の理由を知ること。世界自然遺産に登録される知床の「流氷がもたらす生態系」をどのように楽しめばいいのでしょうか? プランを作るにあたって要注意なのは、ウトロ一辺倒の計画になること。観光的には知床五湖など「ウトロを見る」ことは重要なのですが・・・

間違いだらけの知床旅行

プランをつくるにあたって大切なことは、旅行代理店やガイドブックの情報に踊らされないこと。
たとえばAさんのプランを見ると、
「ウトロに泊まって、知床五湖とカムイワッカ湯の滝を見学。できれば観光船で知床岬沖までいきたいけれど、時間がないので硫黄山でUターンするコースに乗船することに・・・」
ひと言で言えば、この旅行計画は、まさに「物見遊山」。
知床五湖も晴れていれば絶景ですし、カムイワッカ湯の滝もまあ混雑してはいるものの、ちょっぴり秘境体験が味わえます。
しかし、これでは「お仕着せのツアー」となんら代わり映えがしません。
しかも、知床が世界自然遺産に登録された「流氷がもたらす生態系」にはほとんどノータッチということに。

知床・シャチ

世界遺産を楽しむためには根室海峡(羅臼の海)に注目だ!

世界遺産に登録される閉鎖海域における流氷を起点とした生態系がもっとも身近に感じられるのが根室海峡です。
羅臼沖では春から夏にシャチの大群、夏にはマッコウクジラが観察できます。
2000mも潜ることができるマッコウクジラを間近で観察できるのは、深海域が沿岸すぐに迫る根室海峡ならではのことで、世界的にも希少。

また4月下旬にはハシボソミズナギドリが遠く南半球、豪州東南部のビクトリア州とタスマニア州から飛来し、クジラやイルカの群と活発に採食潜水する光景が出現。
これは世界中から根室海峡で爆発的に増殖するプランクトンや小魚を目がけてやってくるもの。
渡り終えたハシボソミズナギドリの体力の回復に、根室海峡は最適な海洋環境を用意しているのです。

冬から春には海外からの旅行者も多いのですが、その理由は羅臼の自然

ゴマフアザラシ、世界的にも珍しいクラカケアザラシ、トドなどが間近に観察できるのは、流氷が根室海峡に入る初春の羅臼。
北海道で繁殖しているのはゼニガタアザラシだけで、他のアザラシはオホーツク海の流氷上で出産し、流氷が接岸する冬に羅臼など、北海道にやってきます。
流氷漂う根室海峡はオキアミや魚などの餌が豊富なうえに、外敵もいないから子育てには絶好なのです。

また冬期にカムチャッカ半島などから羅臼に飛来するオオワシ、オジロワシは羅臼のスケソウダラ漁と密接に関係しています。
スケソウダラの漁獲減がオジロワシの頭数減に繋がるのは、オジロワシ、オオワシともに流氷を起点とする生態系の一部だから。
海の生命は、ワシたちを介して陸上へ運ばれ、ふんや死骸(しがい)となって森を潤しているのです。

近年、NAGANOのsnowmonkey(地獄谷温泉の温泉に浸かる野猿)とSHIRETOKO,RAUSUのEAGLE(知床羅臼のオジロワシ、オオワシ)だけを目的に日本の初春に訪れる外国人ツーリストが増えています。
彼らの方が、本当の知床の良さに気がついているのかもしれません。

世界的にも重要なオオワシ、オジロワシの越冬地であることを今後も保持するための冬期の給餌対策と、サシルイ川、モイルス湾などでの観察場所の整備が課題となって残されています。

羅臼・オオワシ

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